「うちのメンバーは、会議で意見を言わないんです」。経営者や管理職の方から、私たちが最も多くいただく相談です。そして多くの場合、この相談には続きがあります。「でも、飲み会では驚くほど鋭いことを言うんですよ」。
つまり、意見はあるのです。会議室で出てこないだけで。
01「人の問題」だと考えると、打ち手を誤る
本音が出ない会議を前にしたとき、最初に疑われるのはたいてい「人」です。積極性が足りない、当事者意識が低い、話す訓練が必要だ——。そうして発言力研修やプレゼン研修が企画されますが、現場はあまり変わりません。
理由は単純で、飲み会で鋭い意見が出る以上、話す力はすでにあるからです。足りないのは能力ではなく、その力を会議室で使える条件のほうです。
02本当の理由は「発言のコスト」にある
会議での一言には、目に見えないコストがかかっています。途中で遮られるかもしれない。的外れだと評価が下がるかもしれない。話が長引けば「あいつのせいで延びた」と思われるかもしれない。
人は、発言のコストがリターンを上回る場では、沈黙を選ぶ。きわめて合理的な判断として。
だから「もっと自由に発言して」という呼びかけは効きません。コストの構造が変わっていないからです。変えるべきは呼びかけではなく、場の設計です。
03本音が出る場をつくる、3つの設計
私たちが会議ファシリテーションの現場で最初に手を入れるのは、次の3点です。
- 問いの設計——「何か意見は?」ではなく「懸念をひとつ挙げるなら?」。答える形が決まっている問いは、発言のコストを大きく下げます。
- 最初の3分の設計——場の空気は最初の発言で決まります。誰が・何を最初に話すかを偶然に任せず、設計しておきます。
- 沈黙の設計——沈黙を「気まずい時間」ではなく「考える時間」として、あらかじめ予約します。「2分間、黙って書いてから話しましょう」の一言で、会議の質は変わります。
いずれも、特別な道具は要りません。しかし「誰がやるか」ではなく「どう設計するか」に視点を移すこと——それ自体が、多くの組織にとって最初の変革になります。
会議は、組織の縮図です。会議で本音が出る組織は、現場でも本音が動きます。まず、次の会議の「最初の3分」から変えてみてください。